Meyer–Optik Görlitz Primagon 1:4.5/35

Posted: 2015年12月14日 カテゴリー: 2015年, カメラメンテナンス, EXAKTA,

20160415:フォントサイズを10に変更
20160105:写真数枚を差し替え

冒頭書くのもメンドクサイから、本文から行きますね。
念願のMeyer 35mm F4.5を入手しました。日本で。

VValhallaIMG_2339

ヤフオクで釣り上げようとしている人がいるみたいで、とりあえず一万円は下らない。どう考えてもF4.5のレンズがしかも面白みのないプリマゴンが一万円もうするなんて個人的にもそんな金は出せません。ウォッチしているけど入札することはありませんでした。
それが帰国前約一か月でまさかの三千円を見かけたから即入札、熾烈な戦いになるわけもなく、数人の入札後、あっさり手に入れました。

VValhallaIMG_4044

基本スペック

メーカー Meyer
名称 Primagon
外見 シルバー
生産時期 1957年(確定)生産1956 – 1962
焦点距離 35mm
構成 4群4枚
絞り羽 10枚
最短撮影距離 0.4m
画角 63?くらい?
コーティング シングル、V
フィルター径 52mm
寸法
フォーカスリング最大距離 330°
重量 130g?
マウント Exacta、M42、M39
相場 8,000円
生産国 東ドイツ
上位モデル
個体ナンバー 1766243

マイヤーの歴史については以前にも語ったことがあります。共産圏に翻弄されたあげく、95年の歴史に幕を閉じた悲運のレンズメーカーでした。かつてはカールツァイスに匹敵するほどのメーカーだっただけに、残念でなりません。

VValhallaIMG_2342
この35mmは戦後間もないマイヤー最大の広角でした。どういうわけか、マイヤーは広角を作るのは不得意のようで、ペンタコンに入ってからでも広角は不得意のままでした。この会社が倒産するまで、最大の広角レンズは29mmでしかありませんでした(ペンタコンで24mmMCタイプはありますが、マイヤー名義はありません)。
なぜ広角が不得意なのかはわかりません、その代わりとして、超望遠はすごく得意と言えます。

 VValhallaIMG_2345
このプリマゴンがほしいにはそれなりに理由がある。もともと広角が不得意なオレだから、コレクションで50mmをメインに集めてきました。50mmの魅力についてはまたの機会でご紹介します。
35mmはどうしても広すぎるというか、余計なものまでファインダーに入ってしまうらしくてなかなか慣れません。

VValhallaIMG_2344
それでもこの暗い35mmがほしい。それは戦後マイヤーが作るシルバーボディー広角だから、である。
分かりやすく翻訳すると『カッコイイ広角がほしい』です。

Trioplan 100mm F2.8とシルバーボディーのおかげで香港と中国ではコイツの面白みもロクに理解してない連中が買いあさるから、いつの間にか値段も釣り上げられてしまいました。
香港で並品が一万円程度、程度のいいものは二万円以上する場合もあります。
今回帰国で入手できたコイツはとりわけ程度が良くて傷も少ない、ガラスのコーティングまで美しい、これで8,500円は文句つけようがありません。ヤフオクも捨てたもんじゃないです。
強いて言えばフォーカスリングを回すとザラザラな感じがすることでしょうか、気にしなければどうってこともないけど、やはり気になりだすと直すしかないと思います。

VValhallaIMG_9137
Exactaマウントだけど、裏はマイナスねじが3本のみ、簡単に外せると思います。

VValhallaIMG_9139
裏蓋のように取り外せます、ちょっと引っかかる感じがする理由はMeyer特有の抑えバネでしょう。
無くさないように保管しましょう、対角線上に二本あります。

VValhallaIMG_9141
無限遠に合わせて、無限遠の位置を覚えておきましょう。
この35mmは遊びや後調整ができないから、一発で合わせておかないと後で面倒になります。注意しましょう。

VValhallaIMG_9143
ヘリコイドの位置を覚えたらフォーカスリングを外しましょう。
50-2にも似たギリシャ文字が描かれていたんだが、同じ人が整備してたとか?まっさかー・・・

VValhallaIMG_9144
使用頻度が少ないのか、思ったよりもグリスの劣化は見られません。
でもザラザラした感覚はなんなんでしょうか。

VValhallaIMG_9147
ザラザラした感じから解放するためにも、フォーカスリング部分も分解する必要があります。
これ、かなりねじ距離が短いから一周でも足りないと無限遠が出せなくなります、今回も一発で完成できなかった。

VValhallaIMG_9148
ネジの入り位置を覚えておけば調整時間が短く済みます

VValhallaIMG_9149
ヘリコイド側、とりあえずキレイにしました

VValhallaIMG_9150
多分ザラザラした原因はフォーカスリングにあると思われます。
洗った白ガソリンの中から砂?らしきゴミが落ちてました。

VValhallaIMG_9151
レンズ中心部は触ってないこから、部品も少ない、簡単な構造で初心者も苦労はしないはず

VValhallaIMG_9152
キレイにしたからフォーカスリングを組み立てしました

VValhallaIMG_9153
グリスアップ
終わってバネを抑えるための部品も取り付ければ完了します・・・、のはずだが

VValhallaIMG_9155
取り付ける前に、必ず二つの部品を別々にしてから取り付けましょう。
この作業をやらないと基本的にバネを押し込めないので、気をつけましょうね。

VValhallaIMG_9157
完成

作例
VValhallaDSC04469
解放でこれ、F4.5は伊達じゃない
ボケとはほとんど無縁のレンズでしょうね

VValhallaDSC03415
入手後初日で撮ったものです
グルグルボケはほとんど見られません、ないならないで少しだけガッカリしてます

VValhallaDSC03981
海外のサイトでは『いい天気じゃないと使えない』と称されるほどの暗さだけど、発色は素晴らしい

VValhallaDSC04205
解放でこれ、使い方には考えないといけません

VValhallaDSC04266
実はメンテ後のテスト撮影一枚目
まさか無限遠出てなかったとは、仕方ないからF8くらいまで絞って誤魔化しました

VValhallaDSC04267
一応グルグルボケはでる、かなり狙ってやらないと難しい
それとこの時代のレンズ共通の問題だから特筆する必要もないでしょうが、周辺の画質はたとえF4.5でもやや甘い。

VValhallaDSC04268
ディストーションも概ね良好
ブタクサが憎い!

VValhallaDSC04271
暗いから、シャッター速度も自然に遅めになる

VValhallaDSC04281
中国のキッズに大人気『喜羊羊』、やや酔っ払いバージョン

VValhallaDSC04288
Meyerにしては珍しく、面白みに欠ける

VValhallaDSC04289
解放で猫の毛がよく見える

VValhallaDSC04473
解放でスピードライト
測光誤るとディテールが一気になくなります、EV-0.7くらいが丁度いい

コメントを残す